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TBS「噂の!東京マガジン」の名物「やってTRY !」へ感じた違和感。その2「演出のための過剰なダミー食材」

昨日の前回の稿では、TBSの「噂の!東京マガジン」という番組の中の「平成の常識!やってTRY!」という企画に対する違和感について、企画の中で生じている、番組出演者から一般出演者に対する世代差・性差という2種の無意識の差別について、管見を述べさせていただきました。

本稿は、2つ目の違和感である、「演出のための過剰なダミー食材」という点についてまとめています。

 

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2つ目の違和感 演出のための過剰なダミー食材

「やってTRY!」の企画とは、一般出演者(若い女性が主)が、番組から与えられた料理のお題に対して、奇想天外な食材選び・調理・味付けを行うことを見て、番組出演者(主として中高年・老年男性)が嘲笑して楽しむ企画です。

番組を見ていて、私が特に疑問に感じたのは、一般出演者が間違えるように仕向ける「演出のために番組側が用意している食材の量が多すぎるのではないか」という点です。

レシピに必要な量を超える数多くの食材が用意

番組の中では、チャレンジする一般人がお題となる料理を作るために必要となる食材から選んでいくのですが、テーブルの上には、その料理に必要な食材を遥かに超える、数多くの食材が並んでいます。


例えば、「カレイの唐揚げを作ーる」と言うお題の回で、番組側が用意している食材は

野菜類
・キャベツ
・ネギ
・玉ねぎ
・ニンジン
・ジャガイモ
・レモン

魚介類
・舌平目
・カレイ
・アジ
イワシ
・サバ
・小魚

肉類
・豚肉
・挽肉
等等です。

カレイとカレーを間違えさせたいのか、豚肉・挽肉・ジャガイモ・ニンジンまで用意されています。

「お題の料理を正しく作れるか?」という趣旨であれば、ダミーの食材は果たして本当に必要なのでしょうか。

また、カレイの唐揚げを作るのに、ニンジンやキャベツ、ニンジン、ジャガイモは必要ないと思います。

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(他にも、鶏肉の親子丼を作るのに丸鶏一羽などが用意されることもあります。)

 

また、この企画では料理に失敗することがメインになりますので、当然、失敗作が大量に作られることになります。

全部食べ切っているのかという点は別として、番組では料理した張本人やその友人が失敗作を食べていますので、一概に「無駄」とは言い切れませんが、失敗作を作るために投じられた食材は無駄になっているのではないでしょうか。

 

余った食材はどのように扱われているのか

そして、一番の問題としては、「食材を間違えて料理する」という面白い絵を撮るために、数多くのダミー食材を用意していますが、野菜に比べて、足の速い魚介類・肉類は、この収録の後どのように扱われているのでしょうか。

収録の後、番組スタッフが持ち帰る等して美味しく食べていることを期待します。
(「スタッフが美味しくいただきました」テロップの真偽性については疑義が呈されることもありますが。。)

 


番組での食品の扱いに関連して、2009年11月には、BPO放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会が「最近のテレビ・バラエティー番組に関する意見」を日本民間放送連盟(民放連)に申し入れを行なっています。
この意見書について、NHK放送文化研究所の「放送研究と調査」では、

「食べ物を粗末にすることは、「生きることの基本を粗末に扱う」こととして、(バラエティー)番組が批判される理由の1つとなっており、意見書では、バラエティー番組の自由な番組スタイルの特徴を活かした活性化への期待を寄せつつも、視聴者の感受性やモノの見方、社会動向の変化などを考慮して、番組作りに取り組むことが課題である」

という趣旨の意見書をまとめています。
(出典:NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2010年11月https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/focus/291.html

 

平成の時代より、食べ物の扱いについては公共放送の倫理上の課題として取り扱われていることが分かります。

この「やってTRY!」という企画は、「平成の常識」「令和の常識」という副題こそついていますが、この「令和」の時代に、現在の前時代的な番組企画のままで良いのでしょうか。

 

 

令和の時代に「レシピ通りに作れる」ことは正しいのか

令和の現代は、インターネットで検索すれば、料理のレシピはいくらでも出てきます。
やってTRY!の企画で趣旨としている、家庭料理のレシピを覚えていること・知っていること是とする意味はないと思います。

また、レシピ通りではない、個人の創作料理もクリエイティブな創作活動として簡単にシェアされる時代です。
一般的なレシピを、レシピ通りに正しく作ることが果たして「正しい」こと、できないと「笑われる」ことなのでしょうか。

令和は、食品ロス等の問題を解消しエコロジーな社会を作り、その中で、若者や中高年・老年等の多世代や、多様なジェンダー、男女の格差がない性別間格差が是正された社会が目指される時代です。


果たして、この令和の時代において、「やってTRY!」という企画が趣旨としている観念は、常識・社会通念に照らし合わせ、倫理的な問題・課題は抱えていないのでしょうか?

 

あくまでも筆者の憶測

もちろん、番組での食品の扱いについては、あくまでも筆者の憶測にすぎません。
スタッフの方が収録後に持ち帰りされて、ご自宅で美味しく召し上がっている可能性もあります。
筆者の思い込みで番組を批判することは、あまり個人の意見に依拠しすぎであり、決して科学的でもありません。

 

番組の捉え方はひとそれぞれですので、やってTRY!という企画を即刻廃止せよ、ということを私は言いたいわけではありません。
しかし、食べ物を大事に扱うモノの見方がある当世において、
番組演出のための過剰な食品の扱いについて私は個人的に違和感を得ました。

もしかしたら、他にも同じことを感じていらっしゃる方もいるのかもしれませんので、ここに問題提起させていただきたいと思います。

 

 

(2020/11/21 追記)

噂の!東京マガジン」は、どうやら2020年度(〜2021年3月)中に番組の打ち切りが決定したそうです。理由としては、ベテラン出演者が多いことで出演料が高くなっているところに、番組の収入源減少があったようです。本稿でも対象としている「やってTRY」だけでなく「噂の現場」等、視聴者によって好き嫌いが分かれる企画もありましたが、特色ある長寿番組ですので番組終了は残念なニュースです。

どの局もトーク番組や旅番組等、似たような同質な番組が多い中ですが、継続番組も同じように独自性のある番組になると良いですね。

news.livedoor.com

 (以上、追記)

 

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