ideagram

(心に浮かんだ)「考え」を書いたもの。

【自由研究】私たちの身の回りで新型コロナ感染者はどれくらい増えているのか?〜緊急事態宣言下の全国の約2週間(1/11〜1/22)での変化〜

私たちの身の回りで新型コロナ感染者はどれくらい増えているのか?の記事のトップバナー

15秒でわかる本稿のポイント

  • 緊急事態宣言下の約2週間の期間で、社会集団で新型コロナウイルス感染者数がどれくらい増えているのか、という時系列推移を分析
  • 東京都では1000人あたり5.5人であった感染者数は2週間の間で6.6人に増加しています。大阪府も同様に、3人であった感染者数が4人に増加
  • 緊急事態宣言の出ている都市部だけでなく、沖縄県や2週間前までは感染拡大があまり進んでいなかった地域(栃木県・群馬県熊本県・宮崎県・広島県)でも全国平均以上に拡大
  • 我々の社会集団の中では確実に感染者数が増えていて、身の回りにも確実に新型コロナウイルスは存在しているという自覚が大切

目次は以下になります。

 

1. はじめに【Introduction】この2週間で感染者数はどんな変化をしているのか?

 前稿では、一定数の社会集団においてどれくらい新型コロナウイルスの感染が広まっているのかをより感覚的に知るために、通勤電車相当の人口1000人あたりの集団の中でどれくらいの感染者(あるいは感染経験者)が出てきているのかという点を、出生率をの考え方を参考にした感染者率(累計感染者数÷人口規模×1000)によって調べてみました。

ideagram.hatenablog.com


 今回は、この緊急事態宣言下の約2週間の期間で、我々の社会集団において新型コロナウイルスの感染者数がどれくらい増えているのか、という時系列推移について調べてみます。前稿では、調査時点でどれくらいの感染者数がいるのか?(存在しているのか?)という考察であるのに対して、今回は2時点間で感染者数がどれくらい増えているのか?(変化しているのか?)という考察になります。

 

2. 分析方法【Methodology&Data】約2週間での感染者率を比較する

 扱うデータは前稿と同様に、都道府県別の人口1000人あたりの感染者率(人数)になります。この人口1000人あたりの感染者率(人数)出生率の考え方を参考に、累計感染者数÷人口規模×1000という式により算出します。
 今回は「約2週間でどれくらい増えているのか?」という2時点間での変化を見る分析のため、最初の時点(2021年1月11日23:59時点)と後の時点(2021年1月22日23:59)の感染者数率を比較します。

 

 

 

3. 分析結果【Results】大都市だけでなく、地方でも感染者率は増加しつつある?

(1)全都道府県をプロットしたグラフ

 2時点間での人口1000人あたりの感染者数率の伸びを表したグラフを以下に示します。グラフ中には都道府県ごとに、1月11日時点の感染者数を示した点と1月22日時点の感染者数を示した点がプロットされており、2点は矢印によって結ばれています。矢印の先が後の時点(1月22日時点)の感染者率となります。上方向に線が伸び、どれくらい増加しているかを示しています。
 グラフ中の色分けは人口規模(接触リスク)と感染者率(感染拡大状況)によって警戒度を4象限に分けたものです。人口規模と感染者率が全国平均よりも大きい場合は右上(橙色)になり、人口規模は大きいが感染者率が平均よりも小さい場合は右下(緑色)になります。また、人口規模は小さいが、感染者率が平均よりも大きい場合は左上(黄色)になり、人口規模も小さく、感染者率も平均より小さい場合は左下(青色)になります。

全国での感染者率(人数)の変化 [1/11〜1/22の推移]を示したグラフです

全国での感染者率(人数)の変化 [1/11〜1/22の推移]

 全国レベルでの傾向を見てみると、やはり人口規模が大きい、東京都・神奈川県・千葉県、大阪府兵庫県京都府、福岡県といった都市部に近い地域ほど感染者数の伸びが大きくなっていることが分かります。例えば、東京都では1000人あたり5.5人であった感染者数は2週間の間で6.6人に増しています。大阪府も同様に、3人であった感染者数が2週間で4人に増加しています。これは日々報道される新規感染者の増加数も大きい地域とも重なり、感覚的にも理解しやすいです。
 一方で、上記のような大都市だけでなく、沖縄県京都府においても1000人あたりの0.6人増加と、大阪府と同じくらいの伸びとなっています。社会集団における感染拡大は大阪と同じ程度に進んでいるということが言えると思いますので、緊急事態宣言の有無にかかわらず警戒すべきと考えます。

 

(2)地方をプロットした拡大版グラフ

 上記グラフでは、左下の青色の領域に集中している地方の傾向が分かりにくくなっています。そのため、左下の部分を拡大してみたいと思います。拡大版のグラフが以下になります。

地方での感染者率(人数)の変化 [1/11〜1/22の推移]

地方での感染者率(人数)の変化 [1/11〜1/22の推移]

 地方においては、ほぼ増加していない地域(鳥取県島根県秋田県等)もある一方で、大都市圏ほどは増加していないものの確実に感染者数が増えている地域(奈良県熊本県佐賀県等)も出て来ていることが分かります。
 また、グラフ中に黄色枠で示した栃木県・群馬県熊本県・宮崎県・広島県は、2週間前には4象限でいう下の「感染拡大は進んでいない」セグメントに位置していましたが、この2週間の間に、1000人あたりの感染者数が、全国平均の1.46人を超えて「感染拡大が進んでいる」セグメントに入ってしまいました。これらの地域でも、社会集団における感染者数は着実に増えており、感染が拡大しつつあるということだと考えられます。

 

4. まとめ【Conclusion&Insights】身の回りにも新型コロナウイルスは確実に存在する。広がりを止めるためにも移動・往来のセーブが必要。

 以上のように、緊急事態宣言下の2週間における都道府県別の感染者数率(人数)の推移を確認することで、社会集団の中での新型コロナウイルス感染者がどれくらい増えてきているかをみてきました。
 大都市圏では感染者数率は全国に比較して大きく伸びており、確実に社会集団における感染拡大は進んでいることが分かりました。また、地方部においても都市部と同じくらい感染者数率(人数)が伸びている地域もあり、地方の社会集団においても感染拡大が進みつつある可能性があります

 日々、東京や大阪といった都市部の絶対数としての感染者数の増加数が報道されていますが、私たちが日々注意すべきは日々の新規感染者数の増減ではなく、一定数の集団においてどれくらいの感染者がいる可能性があるか?という視点を持つことかと考えます。

 東京や大阪といった都市部では緊急事態宣言の影響もあり、飲食店の夜間営業自粛や終電の繰り上げが取り組まれているところではありますが、人々が移動する以上、一都市における感染拡大の収束に向けた取り組みだけでは不十分であると考えます。現在、GoToトラベルキャンペーンは一時中断とはなりましたが、往来自体は規制されていません。都市部で広がった社会集団における感染拡大は、人々の移動によって次第に地方部にも広がっていくリスクがあります。

 私たち一人一人、特に都市部に住んでいる方々は、「我々の社会集団の中では確実に感染者数が増えていて、身の回りにも確実に新型コロナウイルスは存在している」という認識と、自身に症状がなくとも「もしかしたら自身もキャリア(ウイルスを持っている人)なのではないか?もしかしたら知らずに他の人を感染させるリスクがあるかもしれない。」という認識をもち、移動・往来を自主的にセーブしていくことが必要であると考えます。

 これまでも言われてきている当たり前の結論にはなってしまいましたが、きっとそういうことなんだろう、と思います。

 

f:id:ideagram:20190407232455p:plain

この記事のコンテンツは、クリエイティブ・コモンズ 表示4.0ライセンス"の下に提供しています。クレジット(出典:ideagram)を明示いただければ、営利・非営利問わずご使用いただけます。

 

スポンサーリンク