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【自由研究】電車内の約3人〜5人は新型コロナウイルスに感染しているかも?〜人口1000人あたりの感染者率(人数)を調べてみた〜

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 15秒でわかる本記事のポイント

  • 「私たちの社会集団にはどれくらいの感染者がいるのだろう?」という問いから、一定数の集団の中での感染者率(=感染者人数)を調査してみた
  • 東京都の感染者率が5.51と最も高く、人口1000人あたり5人以上がすでに新型コロナウイルスに感染している
  • 同じ通勤電車内にも3人〜5人の新型コロナウイルス感染者がいる可能性(?)
  • 決して「身近に感染者がいない」というわけではない。一層の手洗い・うがいを。

以下が目次です。

 

 

1. はじめに 私たちの社会集団にはどれくらいの感染者がいるのだろう?

 新型コロナが日本に到達し、国内での初めての感染者が発生してからすでに1年が経ちました。新型コロナウイルスの影響は1年経った今でも続いており、いわゆる「第3波」の渦中にある日本では、連日1000人を越える新規感染者が出ています。

 感染者の発生が当たり前になりつつあるコロナ禍の生活を続けていく中で私たちのコロナに対する危機感も薄れつつあり、緊急事態宣言下においても満員電車が見られる等、コロナ対策の規制と、日常への回帰という2つの動きが拮抗しているような状況です。こうした感染の広がりに対して、政府や自治体が一層の警戒を呼びかける日々が続いています。

満員電車イメージ(出典:フリー素材.com)※緊急事態宣言下の通勤風景ではありません

満員電車イメージ(出典:フリー素材.com)※緊急事態宣言下の通勤風景ではありません

 新規感染者の数は日増しに増えていく状況ですが、いま現在「私たちの社会集団にはどれくらいの感染者がいるのだろう?」という素朴な疑問を抱き、現在までの累計感染者数と一定数の集団の中での感染者率(=感染者人数)を調べてみました。

 

2. 調査方法 人口1000人あたりの感染者率(人数)を調べてみた

 今回は私たちの社会集団における感染者の数を考えるために、一定数の集団の中での感染者率(=感染者人数)に着目します。

 感染者率(=感染者人数)は出生率(数)の考えを参考にして、累計感染者数/人口×1000によって計算します。通常、割合は人口100人あたり何人という百分率の「%(パーセント)」で考えますが、出生率は人口1000人あたり何人という千分率の「‰(パーミル)」で考えます。

 この1000人あたり何人という数字ですが、私たちの社会集団を考える上でも身近な数字かと思います。例えば、電車の座席が埋まり、吊り革に捕まっている人がいる状態(定員列車)の乗車人数が150名程度の人数が乗っていると言われています。

「普通鉄道構造規則」では、旅客定員は車両に表記することが定められていた。現在の省令では義務づけられていないが、旧制度の名残で、車両の定員数は連結面などに表記されている。山手線のE231系の場合、先頭車143人、中間車162人だ。

マイナビニュース「列車の乗車率200%が許される理由」
(URL:https://news.mynavi.jp/article/trivia-200/)2021/1/29参照

 東京を走る山手線は11両編成ですから1編成では1,650人の集団が形成されます。通勤で乗っているような定員列車(満員列車ではないですよ)と同じ規模の集団の中に、どれくらいの感染者がいるのか?を知ることで、新型コロナウイルスの感染がどれくらい身近に迫っているのかを考えることができます。

 データは、NHKが日々更新している新型コロナウイルスのデータサイトより、都道府県別の感染者数データを扱います。記事執筆時点では少し古いですが、1月11日23:59時点でのデータとなっています。人口データは総務省住民基本台帳を元に集計した令和2年1月1日時点での人口データを扱います。

 

3. 調査結果 同じ電車内にも3人〜5人の新型コロナウイルス感染者がいる可能性?

 人口規模と1000人あたりの感染者率(人数)をプロットしたグラフを以下に示します。1000人あたりの感染者率(人数)は上述の通り、累計感染者数/人口×1000によって計算しています。

 また、赤字は政府または都道府県独自での緊急事態宣言を発出した地域を示しています。(1月19日20時時点で新たに沖縄県が独自に宣言を発出しました)

 グラフ中の色分けは、居住人口を接触リスク、感染者数を感染拡大状況を示す軸として捉え、接触リスクの高低×感染拡大が進んでいるか否かの4象限に塗り分けています。
橙色:人口は多く接触リスクが高く、感染状況も進んでいる
黄色:人口は少なく接触リスクが低いが、感染状況も進んでいる
緑色:人口は多く接触リスクが高いが、感染拡大は進んでいない
青色:人口は少なく接触リスクが低く、感染拡大も進んでいない

グラフの色分けの考え方を示す4象限マトリクスです

接触リスクと感染拡大状況の4象限マトリクス

 

2021/1/11 23:59時点の都道府県別の人口1000人あたりの感染者率(人数)のグラフです

都道府県別の人口1000人あたりの感染者率(人数)[2021/1/11 23:59時点]

 グラフを見ると、連日の報道の通り、東京都の感染者率が5.51と最も高くなっており、人口1000人あたり5人以上がすでに新型コロナウイルスに感染している(あるいは感染したことがある)ということになります。

 次いで大阪府の3.95、神奈川の3.04と数値が高くなっており、大阪府や神奈川でも1000人あたり3人以上が感染しています(あるいは感染した)。

 直近のデータだけで集計しているわけではないので少し大袈裟な言い方にはなりますが1000人の社会集団に3人〜5人の感染者が存在するということは、同じ電車内にも3人〜5人の感染者が乗り合わせている可能性がある(?)ということになります。

 また、11両編成の電車で言うと、約2両〜約4両に1人は、新型コロナウイルスに感染している(感染したことがある)ということになります。

 

 また、都道府県の人口規模と、1000人あたりの感染者数の関係を見てみると、やはり人口が多い地域ほど感染者数が多くなっている関係が見て取れます。人口規模と感染者数の間に関連性がある中で、人口が多い都道府県を対象にして、政府が緊急事態宣言を発出していることは評価できるのはないでしょうか。
 しかし、一方で、北海道や沖縄県のように緊急事態宣言の対象とはなっていないものの感染拡大が進んでいる地域も見られます(沖縄県は1月19日に独自の緊急事態宣言を発出)。今回のデータは第1波・第2波のデータも含み、直近の感染者数ではないので、昨年かなりの感染者が発生した北海道ではグラフの数値が高くなっているだけで、実際の緊急度合が高くないのかもしれません。

 

4. コロナ感染者は、決して「身近にいない」わけではない

 今回扱ったデータは、この1年間の累計感染者数のため、現在リアルタイムで発生している新規感染者のデータではありません。そのため、社会集団の中で、いま現在の同時点でどれくらい感染者がいるかということを直接示すものではありません

 先日TVニュースのインタビューで、新型コロナウイルスに対する気の緩みの原因として「身近な人に感染した人がいない」という意見が挙げられていました。確かに家族・友人・知人から「コロナに感染した」という話はなかなか聞こえてこないため、少ないと感じることもあるかもしれません。
 しかし、新型コロナウイルス感染者が周囲に感染事実を自己申告しないといった行動をとることは想像に難くありません。新型コロナウイルスに感染すると、本人だけでなく濃厚接触者となる周囲の人も巻き込んで日常生活に制限が設けられる等、多大な影響が生じます。また「この自粛下において外出していた」といった目で見られることもある可能性があります。
 今回、人口1000人あたりの感染者率(人数)を見たことで、電車を乗った時に同じ列車内に乗り合わせている集団と同じ規模の社会集団の中でどれくらいの新型コロナウイルス感染者がいるのか?と知ることができ、身近に感染者がいないと思い込んでいるだけで、実は同じ電車内でも3人から5人くらいの新型コロナウイルス感染者がいる可能性があるということがわかりました。

 同じ列車の中に3人という数字を多いと取るか、少ないと取るかは読者の皆様の判断に委ねたいと思いますが、私は決して「少ない」と言える数字ではないと考えます決して「身近に感染者がいない」というわけではありません

 吊り革や手すり、ドアノブ等、身近なところからウイルスには感染します。いま一層、うがい手洗いを忘れずに、念入りに行うことでウイルスから身を守っていきましょう。

 

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