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【自由研究】COVID-19の新規陽性患者数の減少を「休日」「外出自粛」と「PCR検査受検者」との関係から検証してみる。(1/3)

背景・分析手法パート編

15秒でわかる本稿のポイント

  • ゴールデンウィークに入り、COVID-19の新規の陽性患者数が減ってきている
  • でも、休日だから、PCR検査受検者数が減って新規の陽性患者数が減少しているだけでは?
  • 「休日」「外出自粛の動き」が分かるオープンデータから分析してみた

目次は以下の通りです。

 

 


【1. 背景】Introduction

はろー、みなさんこんにちは。

ゴールデンウィークいかがお過ごしでしょうか。
COVID-19の拡大はまだ収束しておらず日々新たな感染者数が報道されています。
4月中旬からの外出自粛のおかげか、4月下旬にかけて感染者(新たな陽性患者)の数は減少に転じています。

4月下旬にかけて感染者(陽性患者)数は減少に転じている。 都内では、4月27日には37人まで減少し「ピークを超えた?」感まである。(しかし、5月1日には160人まで再び上昇している。)(画像:出典)東洋経済オンラインより筆者撮影 https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/(2020.05.03撮影)

(画像:出典)東洋経済オンラインより筆者撮影 https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/(2020.05.03撮影)

GW前の4月27日には、東京都内では37人まで減少し 「ピークを超えた?」感までありました。(5月1日、2日には160人超えと再び増加に転じていますが。。)
こうして増減を繰り返しながら、段々と収束に向かっていくものなのだとは思います。

ゴールデンウィークの外出動向とCOVID-19の拡大状況の動向を繰り返し報じるテレビのワイドショーを見ている時に、ふと私はこのような疑問を持ちました。

新規陽性者が急減したのは、GW休みになってPCR検査受検者数が減っただけなんじゃない?

 実のところは、真に感染者数が減っているわけではなく、GWの休日になったから、PCR検査を受検する人が減っているだけなのではないか?
 はたまた、数週間、耐え続けている人々の外出自粛の努力が実ってきているのでしょうか?

そこで本稿では

  • 「休日」「外出自粛の動き」←→「PCR検査受検者数」の関係
  • PCR検査受検者数」←→「新規陽性患者数」の関係

を分析することで「休日はPCR検査受検者数が減るので、新規の陽性患者数が減少している」かという問いに対する答えを明らかにしたいと思います。

 

【2. 研究方法】Methodology

(1) 仮説モデル Models

本稿では3つの仮説の検証を試みます。

まず1つ目の仮説は、今回の検証の前提として
「“何らかの理由”によりPCR検査受検者が減ると、新規の陽性患者数も減るのか?」
という問いを設定します。

[仮説1] 何らかの理由によりPCR検査受検者が減るので、新規の陽性患者数が減少している。
[H1] For any reasons, the number of people PCR testees decreases, and the number of new positive patients will decrease.

この“何らかの理由”として、本稿のテーマである「休日」「外出自粛の動き」を考え、
2つ目、3つ目の仮説として設定します。

 

[仮説2] 休日は何らかの理由によってPCR検査受検者数が減る(ので、新規陽性患者数が減少する)
[H2] The number of PCR testees decrease on weekend(, and the number of new positive patients will decrease also.)

[仮説3] 自粛努力等により外出が減り(=感染者との接触が減ることで)、PCR検査受検者が減る
[H3] The number of people in going out decreases, and the number of PCR Testees will decrease also.

 「休日」と「新規の陽性患者数」の間には直接の因果関係を見出すことは難しいと考えます。そのため、両者を媒介する変数(中間変数)として「PCR検査受検者数」を設定します。
 まず、前提となる仮説1の「PCR検査受検者数」と「新規の陽性患者数」の間に相関関係を検証し、両者の間に有意な関係があることを確認できたら、仮説2、仮説3で「休日」「外出自粛の動き」と「PCR検査受検者数」の関係を検証します。
 つまり、仮説1が成り立つことを前提として、仮説2及び仮説3での検証を通じて、「休日」「外出自粛の動き」と「新規の陽性患者数」との関係性を試行的に分析していきます。
 本稿の検証する仮説モデルを以下に示します。

 

本稿で検証する仮説モデル

本稿で検証する仮説モデル


(2) 分析方法とデータ Methods and Data

本稿では筆者の勉強を兼ねて、統計ソフトはRを使用して分析しています。
それぞれの仮説についての分析方法と用いるデータを示します。

仮説1「PCR検査受検者数と新規陽性患者数」では、ある日のPCR検査受検者数と、同日の新規の陽性患者数について、東京都が公開しているデータを元に、「PCR検査受検者数と、同日の新規の陽性患者数の間に何らかの関係があるか?」という点を、相関分析(Correlation Analysis)によって分析します。

そして、「PCR検査の増減が新規患者数の増減につながるのか?」という点を単回帰分析(Single Regression Analysis)によって分析します。

PCR検査の増減が新規患者数の増減につながるのか?」という点を単回帰分析(Single Regression Analysis)によって分析します。

仮説1「PCR検査受検者数と新規陽性患者数」の分析モデル


仮説2「休日とPCR検査受検者数」、仮説3「外出自粛の動きとPCR検査受検者数」では、
PCR検査実施日について、「その日の曜日(休日かどうか)及び、実施日6日前の外出自粛の動きは、その日のPCR検査受検者数に影響を与えるのか?」という点を重回帰分析(Multi Regression Analysis)によって分析します。

その日の曜日(休日かどうか)及び、実施日6日前の外出自粛の動きは、その日のPCR検査受検者数に影響を与えるのか?」という点を重回帰分析(Multi Regression Analysis)によって分析します。

仮説2「休日とPCR検査受検者数」と仮説3「外出自粛の動きとPCR検査受検者数」の分析モデル

 なお、COVID-19は潜伏期間が2週間程度と言われていますので、外出者数と陽性患者数の両者のデータの間にはラグを取る必要があります。
 本稿では、東京都が引用するWHOの発表、一般社団法人日本感染症学会が示す潜伏期間を参考にし、「6日」のラグを考慮することにします*1

 例えば、2月1日に外出した人が同日感染した場合、6日後の2月7日に発症してPCR検査で「陽性」と診断されることを仮定します。言い換えると、x日のPCR検査日時に対して、x-6日前の外出者指数との相関を確認することにしています。

 

 分析に用いるデータは、東京都の公開データ及びヤフー・データソリューション社が提供公開している外出者動向のデータです。

PCR検査受検者数
→『東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト』
「都内の最新感染動向 検査実施件数」
  https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp

■新規の陽性患者数
→「東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細」
 https://catalog.data.metro.tokyo.lg.jp/dataset/t000010d0000000068

■  (PCR検査日−6日の)外出者指数
→ヤフー・データソリューション社が公開する
『全国主要都市来訪者・往訪者推移指数オープンデータ』「東京都全域の来訪者指数」


 データの範囲は、2月13日〜4月29日の間で「外出者指数」「PCR検査受検者数」「新規陽性患者数」の3種のデータが揃う、66日分の公開データとしています。
※サンプルサイズが小さすぎますので、公開データが増えたら、リトライしてみる必要があります。

 

分析結果と考察パートへ

記事が長くなってしまうので、分析結果と考察については、記事を分けたいと思います。

(執筆次第、順次、公開していきます)


分析結果パートの記事はコチラ To Results
結論・考察パートの記事はコチラ To Conclusion and Discussion

 

 

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*1:COVID-19の潜伏期間の目安については、東京都がWHOの発表を引用して示すには
「現時点で潜伏期間は1~12.5日(多くは5~6日)」(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/tosei/news/covid-19_faq.html [2020.5.3確認])
一般社団法人日本感染症学会が示すには「潜伏期間は1~14日で平均5.8日」となっている。(https://www.kansensho.or.jp/ref/d77.html [2020.5.3確認])